◆科研費(採択分)

 

 ○基盤研究(C)(一般)平成2426年度、抽象絵画の構造理解のための感性心理的認知過程の計測と分析、研究代表者:新井義史4,670千円

形態や色彩などの造形要素が引き起こす視感覚系の心理的・感情的内容は、それを定量化することがこれまで難しかった。本研究では、抽象絵画を対象に「視線測定装置」を用いて視覚行動を実時間的に計測し、被験者が発する「プロトコル(言葉)」を同時に記録し臨床的データを得る。視覚による観察行動と言語による認知活動とを関連させて分析することで、感性心理的内容の計測が可能であると考える。本研究は「構図」「造形文法」「レイアウト」など各領域において個別に検討されてきたビジュアルアート全般に通底している「心のしくみ・働き」と「語彙力」の関係を明らかにするための基礎研究である。

 

 

 

○基盤研究(C)(一般)平成2123年度、抽象絵画における表現および鑑賞指導のための統合的研究、研究代表者:新井義史35002500)千円

本研究は、「ドローイング的表現」による「抽象絵画」を対象に、主として以下の3点に取り組んだ。抽象絵画制作のための効果的なトレーニング方法の検討、2,抽象絵画の作品理解のための分かりやすい鑑賞方法の考察、3,アナログ表現とデジタル入力デバイスを併用した抽象絵画制作の手法の検討。特に、水性系描画材による表現サンプルを収集し分析した結果、抽象絵画の理解および制作に関しては「視覚的力動性」と「抽象的構造水準」とが深く関連していることが確認できた。今回の申請は、これらの検討結果をベースに、機器を用いて計測するものである。

 

 

○基盤研究(C)(一般)平成1719年度、芸術的アプローチによるメディア教育のモデル開発基礎研究、研究代表者:佐々木宰、研究分担者:新井義史・伊藤隆介・佐々木けいし・三浦啓子、3500千円

本研究の目的は、教育活動における諸種メディアを芸術的な観点から捉え直し、視覚・触覚といった身体感覚を通した創造活動を可能にする新たなメディア教育のモデル開発の構想を試みることにある。1.「映像」「情報」「工芸(ものづくり)」におけるメディアの教育的価値の考察、2.北欧諸国(スウェーデン・フィンランド)における実地調査、3.視覚・触覚メディア操作を内包する創造活動の教育的可能性の考察を行った。

新井(研究分担者)は、美術作品を鑑賞教育のメディアと捉え、視覚的印象を言語に変換して理解させる教育の可能性を考察した。さらに学習システムとしてのwebに着目し、メディア教育モデルへの適用を構想した。

 

 

○基盤研究(C)(一般)平成1213年度、学校教育におけるアジア造形文化の鑑賞教材開発に関する研究、研究代表者:佐々木宰、研究分担者:新井義史・伊藤隆介・福田隆眞、3100千円

本研究は、1)東南アジアにおける造形文化に関する資料の整理と分析、2)韓国における造形文化に関する実地調査、3)鑑賞教育の実態・現状とその教材・資料についての調査、という3つの側面から進めた。1)教材化のための基本的な内容の検討、2)韓国における映像メディア表現の実地調査、3)鑑賞教材のプロトタイプの試作とその検証。これらの検討を行ったのち、アジア造形文化鑑賞のための教材のプロトタイプを試作した。このうち、新井は、仏像と水墨画の教材については、大学生を対象とした講義において試験的に試用し、指導内容と学習のプロセスを含めて、教材の効果を確認することができた。

 

 

○基盤研究(C)(一般)平成1011年度、表現教育の可能性としての芸術と情報のカリキュラム研究、研究代表者:福田隆眞、研究分担者:野波健彦・朴成康・新井義史・佐々木宰、3400千円

本研究は表現教育の可能性という主題に基づいて、美術、音楽、情報の分野からそれぞれの特性と共通性について考察を進めたものである。研究の手法として、(1)創造性、(2)イメージ、(3)地域・環境、(4)言葉などの要素によって考察を行った。その結果、「情報社会における鑑賞の形態」「デジタル・グラフィック教育への視点(新井義史)」「シンガポールの情報教育用図書について」「美術教育における情報デザイン」「幾何学形態による構成方法の考察-音階に基づく色彩表現について-」「表現科における教科内容の構想-韓国の統合教科「楽しい生活の分析を通して-」等を報告した。